吾輩は猫と暮らしている

吾輩は主婦である。この物語は吾輩とナゼかキニなる動物たちとの物語である。

最初の猫は、白かった。

吾輩は猫と暮らしている。

 

最初のパンダは白かった、という歌が昭和50年代に流行ったことがあったが、私が最初に暮らした猫は白かった。

 

とはいえ、実は本当にそれが最初なのかはわからない。

 

なんでも、父親という人物がたいそうな猫好きで、次から次へと拾ってきては飼っていたというので、私も猫まみれの中で生まれたかもしれないのである。

 

この父親は私が物心つく前に他界しており、私にとっては継父が実父のようなもので、この話は母親からのみ聞いた話、今となっては真相は藪の中である。

 

とはいえ、亡き父の血筋の為せる技であるのか、私も捨て猫や捨て犬に実によく出会ってしまうものであった。

 

小学3年生のとある蒸した午後、私が1人下校していると、どこからかみゃあみゃあとこえがする。

 

音の方を目を凝らしてみていると、埃まみれの材木置き場のような薄暗がりの中、ぼんやり白い小さなものが目を細め、ぱっかりと薄赤い口を開け、舌をのぞかせ、鳴っている。

 

「猫の赤ちゃん、助けなきゃ」
私は木材の間に手を突っ込み、必死で猫を手繰り寄せようとした。
猫は驚き、退き、暗闇に落ちた。

 

しんじゃった—?

 

猫というものは、少々の高さから落ちてもそう簡単に死んだりしないことを、知らなかったその時の私は固くなった。

 

再び声が聞こえた時の安堵と、今度こそ“うまくやらねば”の使命感は強く、砂利だらけの地面に手をつき、這いつくばるようにして暗がりに腕を突っ込み、子猫を引っ張り出したのであった。

 

落ちたはずみに怪我でもしていないかと思ったが、無事な様子に安心した。

 

かくして私は真っ白なーこの時は埃で黒ずんでいたがー子猫を懐に抱え帰宅するのである。